[訪談]SO-NET的Plastic Tree インタビュー
"ゼロ"から一年目。
彼らの「今」が詰め込まれた新たな未来絵図が完成!
昨年メジャーデビュー10周年を迎え、初の日本武道館単独公演を含むライヴの成功と集
大成アルバム『ネガとポジ』やベスト盤『B面画報』のリリースなど、華やかな活動を
見せてくれたPlastic Treeが見せる新たな未来絵図──通算9作目『ウツセミ』は、こ
れまで以上にメンバー全員の個性全開の豊かなバラエティの中に、変わらぬプラらしさ
を詰め込んだ濃厚な作品となった。はかなく美しいメロディとヴォーカル、激しい轟音
とドラマチックなサウンドのバランスの上で、Plastic Treeの音楽は夢と現実の境目を
突き抜ける──。
■迷いがなくなってから、曲がどんどんできていきました
So-net Music(以下So-net):アルバム・リリースに先駆けて、8月から9月にかけてツア
ーを回りましたよね。珍しいタイミングだなと思ったんですが。
長谷川正(B/写真右):以前にやったことがあるんですけど、ここ数年はなかったですね
。新曲もけっこうやったんですけど、もちろんお客さんは聴いたことがないので、じっ
くり聴いてくれる人が多くて、それはそれで良かったなあと思いました。反応がすごく
良かったし、いい具合にアルバムにつながるんじゃないかと思います。
有村竜太朗(Vo/写真右から2番目):ライヴを先に見てもらって、アルバムへの期待感
をあおれればと思ってましたね。
So-net:ちなみにツアー・タイトルは「ステレオ蝙蝠族」。これは活動休止したサザン
オールスターズに捧げたのかなと(笑)。
有村:いや~、なんとなく(笑)。とりあえずグッズとかを作る時に、蝙蝠をモチーフに
しようと思ってたんですよ。そしたら、夏のツアーだし、夏と言えばサザンだし、「ス
テレオ蝙蝠族」でいいんじゃない?って。何か、言葉の響きが良かったんです(笑)。
So-net:そして1年3か月ぶりのニューアルバム『ウツセミ』が出ます。去年はメジャー
デビュー10周年イヤーで、武道館ライヴもやって、「一度ゼロにする」というテーマが
あったようですけど、ここからまた新しいスタートという実感がありますか。
有村:そうですね。新しい1枚になったというか、ならざるをえなかったというか…去
年は出し切ってしまった感覚が正直あったので、その次に曲を書くといっても、「書け
るのかなあ…」という気持ちが強くありました。
So-net:迷いの時期がしばらく続いた?
有村:そうですね。でも、もともと自分たちがやりたいことは、今回にせよ前回にせよ
、過去に出したものにせよ、あまり変わらないんだから、今の自分の切り口は今しかで
きないと思うし、今までちゃんとやってきたことを今の切り口で出そうと。特に新しい
ものをやろうとか、自分の中にないものを引きずり出そうとか、そういう迷いがなくな
ってから、曲がどんどんできていきました。
長谷川:「前作を超えなきゃ」というプレッシャーもあって考えすぎたところがあった
んですけど、そこを越えてからは逆にフラットな気持ちで取り組めましたね。これまで
のことは一回置いておいて、今の自分とこれからの自分をどう表現していこうかな?と
いう発想で作っていった感じです。
■前作がは1冊の本だとすれば、今回はスケッチブックみたいな感じです
So-net:確か前作『ネガとポジ』の時には、バンド始まって以来の制作前ミーティング
というのをやったんですよね。今回は?
有村:今回はやってないです。みんな悩んでる雰囲気が伝わってきたから、変に決め事
を作るよりは、個々が考えて、何をPlastic Treeに持ち込みたいかを、自然にやってい
ったほうがいいのかなと思ったので。あえて何もミーティングをせず、いろんなタイプ
の曲が出てきて、それをみんなでああでもないこうでもないと言いながら作っていきま
したね。
So-net:インストを含む全14曲がすべてノンストップでつながっている、非常にコンセ
プチュアルな仕上がりになってます。
長谷川:途中から、曲間にSEを入れて今までにない感じにしたら面白いんじゃないか?
というアイディアが出てきたんです。
有村:バンドが持っている演劇性みたいなものを生かすアルバムは、あまりやったこと
がなかったなと思ったので。コンセプトと言っても、何かテーマを掲げているわけでは
ないんですけど、表現している空気感みたいなものが伝わればいいかなと思います。た
とえば、実際に駅まで行って人ごみの音を録ってきたりとか、自分たちが感じている今
の空気感も入れたら面白いんじゃないかな?というのがあって。
So-net:あえて言うなら、アルバムのテーマは「今」ですか。
有村:そうですね。アルバムはいつも、「今自分たちがこういうことを感じている」と
いうものが出るので、そこを大事にしたと思います。
長谷川:前の『ネガとポジ』は1冊の本っぽいですけど、今回はスケッチブックみたい
な感じですかね。
So-net:曲はどうですか? 結果的に、どういうタイプの曲が揃ったアルバムになった
のでしょうか。
長谷川:正直、面白いなあと思います。今回は、メンバーそれぞれの個人的な側面が強
く出ている気がして、曲がその人自身の中である程度できあがっていて、それをバンド
のプラスアルファによって作品に仕上げたみたいな。
■「ウツセミ」は、自分を構成しているものが多く入っている言葉だと思います
So-net:歌詞はどうですか。
有村:今回は、ほかのメンバーも歌詞を書くモードにあったし、自分はその中から書き
やすそうなものを選んで書かせてもらった記憶があります。
So-net:竜太朗さんの歌詞って、恋の歌が多いですよね。
有村:ああ…そうですね。でもあまりそれに徹しているわけではなくて…恋というか、
人ですね。人についての歌は多いです。
So-net:そうか、人と人との関わりという意味で、恋愛の情景に見えることが多いのか
もしれない。
有村:もともと、テーマを決めずに書くんです。ポンと出てきた言葉を掘り下げていく
だけで、書きながら、「ああ、自分はこういうことが言いたかったんだ」って、あとか
らわかるタイプなので。断片を頭の中でこねながら、それがメロディに引っ張られたり
、曲の印象に引っ張られたりして、なんとなく言葉が出てきた時に、そこから一生懸命
化石を掘るみたいな…(笑)。
So-net:歌詞を書くのは化石掘り(笑)。竜太朗くんらしい表現です。
有村:どんどん掘っていって、「あ、こんなものが出てきた」と思って、きれいにして
から納品するみたいな(笑)。ほんとにそんな感じなんです。自分でも実際よくわからな
いし、全部出てきたあとも何の化石だかよくわからないこともある(笑)。
So-net:14曲の中で、「すごい化石が掘れたぞ」と思うのは、たとえばどの曲ですか。
有村:全部そうですけど、一番深いところまで掘れたと思うのは「ウツセミ」かな。1
曲だけ、「記憶行き」に関しては、ずっと前から書きたいことがあって…この曲は唯一
、「書かないと前に進めないな」と思って書いたから、掘ったという感覚はないですけ
ど。
So-net:アルバム・タイトルにもなった「ウツセミ」は新鮮ですね。今までになくエロ
ティックな表現も使われていて、新しい世界になっていると思います。
有村:これは、曲に呼ばれたという感覚に近いですね。「ウツセミ」という言葉は「こ
の世」という意味でもあるし、「身を映す」ということでもあるし…以前に「ぬけがら
」という曲があって、バンドにとって大きな基点になった曲なんですけど、自分を構成
しているものが多く入っている言葉だと思ったんですね、「ウツセミ」は。みっけもの
の化石でした。フタバスズキリュウみたいな(笑)。
So-net:この曲は正くんの作曲です。
長谷川:自分の中では得意分野の曲だし、「プラにこういう曲があってほしい」という
曲でもあったので。今までもこういうテイストの曲は作ってきたんですけど、さっき言
ってもらったみたいに、ここまでエロティシズムみたいなイメージを出したのは初めて
かもしれない。歌詞が出来上がってきた時も、この曲には申し分のないものだと思って
、うれしかったです。すごくいい曲になったと思います。
■聴く人の思いがそれぞれの曲に重なってくれれば、そんなにうれしいことはないです
So-net:アルバムでは正くんも何曲か歌詞を書いてますけど、どんな書き方が多いです
か? 「化石掘り」に対抗する表現でお願いします(笑)。
長谷川:なんですかね…昆虫採集?(笑) 森の中に入っていって言葉を探してくるとか
(笑)。
So-net:うまい!(笑)
長谷川:僕の歌詞のテーマは…今回は「青春の幻影」みたいな歌詞が多くなったかなと
思います。恋愛になぞらえる部分もあるんですけど、自分の中ではそういう感じがしま
す。
So-net:「記憶行き」については? この曲は、プラ史上に残る名曲だと思うんですが
。
有村:この曲に関しては、「書かなきゃな」というのがありました…というぐらいしか
言えないんですけど。すごく個人的な話なので。
So-net:それはもう、読めばすぐにわかります。非常にリアルな、せつない、別れの光
景が描かれていますね。
有村:リアルすぎて、自分でも「う~ん」とか思っちゃうんですけどね。でもいつも、
意外と僕の歌詞は、ほとんどリアルなことなんです。空想の世界にどっぷりみたいなイ
メージがあるかもしれないけど、ほとんどリアルなことなので。結局、そういうことを
やらないと前に進めないタイプなので、結果的にちゃんと書けて良かったなと思います
。
So-net:みなさんもぜひ、歌詞を読んで、この曲のせつなく美しい世界観にひたってほ
しいです。
有村:聴いてくれる人の思いが、それぞれの曲に重なってくれれば、そんなにうれしい
ことはないです。
So-net:それと、もう一つ。初回限定盤付属のDVDに収録される、7月に行われたライヴ
「浅草花やしきフォーク集会」について、知らない人のために紹介してほしいんですが
。
長谷川:遊園地というシチュエーションで、一度ライヴをやってみたかったんですよ。
有村:花やしきの、独特の雰囲気がもともと好きだったんです。懐古趣味が大好きな
Plastic Treeなので(笑)。古いものを見るとよだれがたれてしまう(笑)。
長谷川:しかもフォーク集会。今どき言わねえだろって(笑)。
有村:すごくいい思い出になったし、刺激にもなりましたね。電気の力をあまり使わず
にやるのも新鮮でした。本当に面白かったから、また機会があればぜひやらせてもらい
たいです。
So-net:アルバムを出したあと、今後の予定は?
有村:もしかしたらまた海外に行くかもしれない。もしかしたらレコーディングをやっ
て、もしかしたらツアーをやるかもしれない(笑)。いつもと同じですね。曲を書いて、
ライヴをやって。やりたいことを、やっていくと思います。
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來源:http://v-rock.blog.so-net.ne.jp/interview08_44
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