[月海] 脅威のLUNA SEAに驚愕のSLAVE、両者が見せた奇跡の共演
脅威のLUNA SEAに驚愕のSLAVE、両者が見せた奇跡の共演
「10年経って帰って来たら、以前よりもかっこよくなっていた」なんて、そんなバンド
がこれまでどこにどれだけいただろう。5人全てのメンバーがいくら現役だとはいえ、
バンド全盛期に起こした若きバンドマジックをいとも簡単に再現し、次の次元でさらな
る化学反応を起こすなんて、そんな都合のいい奇跡のシナリオは見たことも聞いたこと
もない。
でも、17万5千人がそれを目撃している。これは後世にも語り継がれる音楽史に刻まれ
た事実だ。
元来いつでも「時」は残酷なもの。時は人にキャリアとスキルを与え、代わりに若さ
ゆえの過ちを奪う。勝ち得た「安定」は素晴らしき芸術を生み出す最大の武器となるが
、進化を失ったものはいずれ朽ち果てるものだ。LUNA SEAは己の身に迫る危険を察知し
、自ら鼓動を止めた。RYUICHIは2010年12月25日、東京ドームのステージから自らの口
でこう語った。「LUNA SEAはでっかいバンドになりました。でかくなりすぎて、自分た
ちの手の長さ、足の長さを忘れてしまった」と。進化もしないが退化もしない状態に
LUNA SEAを置き、彼らは5つの旅路に出た。10年前の話だ。彼らはそれを終幕と呼んだ
。
そして2010年。変化すること、進化すること、そのためのエネルギーは5人5様のメンバ
ーが持ち寄り、それぞれがLUNA SEAというモンスターに投げ込んで見せた。5つのエネ
ルギーは鮮烈な化学反応をみせ、LUNA SEAの鼓動がドクンと波打った。それだけでも奇
跡だ。未だやんちゃなメンバー5人は、素直に喜び、LUNA SEAというモンスター・マシ
ンの乗り心地を再確認したことだろう。「すげえな、LUNA SEA、カッコいいぜ」…さし
ずめ、そんな感想だったのではないだろうか。
彼らは23日には「Days of Repetetion」を、24日には「Maria」という別の新曲を披露
した。滑らかなメロディとキャッチーなビートを毒々しいプレイで飾り付けた極上の楽
曲を、挨拶代わりに産み出してみせた。
彼らはいたずらっこのように、既に形骸化し存在すらしないと思われたLUNACYという器
に、20年ぶりにエネルギーをかざしてみたわけだ。するとどうだ、そこから発せられた
閃光の輝きは、5人のメンバーにも眩しく妖しいものだったのではないか。25日に登場
するLUNACYは、シナリオライターには決して描けない、バンドマジックの奇跡の象徴と
なった。
25日はRYUICHIも真矢も髪をぶっ立てて現れた。用意された曲目はそのほとんどをイン
ディーズ・アルバム『LUNA SEA』とメジャーデビューアルバム『IMAGE』からピックア
ップ、中には、LUNACY時代のデモテープ作品「SUSPICIOUS」「NIGHTMARE」といったレ
アな楽曲も飛び出した。アンコールの最後には、大曲「MOTHER」をも披露してくれた。
自分の胸の奥にしまわれた甘酸っぱい部分を刺激され、大事な楽曲をシャワーのように
浴び、涙がとまらなかったオーディエンスも続出したはずだ。
そして、12月23日、24日、25日を経て、認めなくてはいけない明らかとなった事実が
もうひとつ。SLAVE達のエネルギーの高さだ。言葉にするまでもなく、ライブはアーテ
ィストとリスナーの呼吸であり、ステージ・サイドとオーディエンスとのエネルギーの
交換の場でもある。オーディエンスのパワーがアーティストに還流しうねりを生み出し
、会場一体となった感動を共有して初めてライブが成立する。ライブの善し悪しは、オ
ーディエンスに委ねられる点も大きい。
「俺たちは5人でグルーブしている。(SLAVE達は)5万人でグルーブしているからカッ
コイイね」。そう語ったのは24日アンコールで再登場した時のRYUICHIのセリフだ。実
際、この日のアンコールにはちょっとした奇跡が起きていた。SUGIZOのギターのノイズ
音を残して本編が終了したのち、会場から一向にアンコールの手拍子も掛け声も上がら
ないのだ。通常では考えられない光景だが、静まり返った会場でどこからともなく聞こ
え始めたのは「きよしこの夜」の歌声だった。予定調和のアンコールを避け、メンバー
がステージを降りたその静寂の空間で、SLAVEたちは12月24日の夜に奇跡の協演を産み
出し、まもなく「きよしこの夜」は5万5千人の大合唱となって東京ドーム中に響き渡っ
た。
RYUICHIが言うように、聖なる夜のメロディでLUNA SEAを再び呼びだしたSLAVEの一体
感こそ、バンドに勝るとも劣らない奇跡のグルーブだ。SLAVEは、10年間LUNA SEAが終
幕していた間も常に存在し続けていた。LUNA SEAを見守りLUNA SEAを愛し、LUNA SEAを
育む母なる大地「MOTHER」のようなSLAVEの存在こそが、2010年のLUNA SEAを目覚めさ
せたに他ならない。
東京ドーム3Daysを制覇した人がどれほどいたかは分からないが、日を重ねるたびにサ
ウンド・クオリティーが上がっていくLUNA SEAの末恐ろしさと、LUNA SEAのポテンシャ
ルをぐいぐいと引き出すSLAVEたちのエネルギーの巨大さ、これこそが驚異であり驚愕
であり奇跡であった。そしてこの関係性こそ、今の音楽シーンが失いつつあるアーティ
ストとオーディエンスが取り持つ純潔の契りの理想形であることが浮き彫りとなった3
日間でもあった。
軽薄短小なムーブメントに翻弄されている今の日本の音楽状況に、目覚めのカウンター
をお見舞いしたLUNA SEAとSLAVE。この3日間にわたる濃密な共演の様子は、人々の口々
でしっかりとじっくりと日本中に伝達させていく必要がある。
<Lunacy 黒服限定GIG ~the Holy Night~>
2010年12月25日@TOKYO TOME
1.FATE
2.Dejavu
3.MECHANICAL DANCE
4.IMITATION
5.Image
6.SLAVE
7.BRANCH ROAD
8.SANDY TIME
9.SYMPTOM
10.SUSPICIOUS
11.SEARCH FOR REASON
12.Dr & Bass Solo
13.BLUE TRANSPARENCY限りなく透明に近いブルー
14.SHADE
15.CHESS
16.TIME IS DEAD
17.PRECIOUS...
18.NIGHTMARE
EC1.ROSIER
EC2.MOTHER
http://www.barks.jp/news/?id=1000066680
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