[新聞] シス・カンパニー「寿歌」 震災に呼び出された神話・寓話劇
シス・カンパニー「寿歌」 震災に呼び出された神話・寓話劇
劇作家の北村想が1979年に書いた「寿歌(ほぎうた)」は、核戦争で世界が廃虚と化し
た後の人類の終末を描いた神話的・寓話(ぐうわ)的戯曲。シス・カンパニーによる今
回の「寿歌」の舞台は、当初の上演意図から離れ、東日本大震災の衝撃を受けた状況に
よって亡霊のように呼び出されたかのようだ。演出は千葉哲也。
核ミサイルが花火のように飛び交う関西の町。家財道具をリヤカーに積んで、旅芸人
のゲサク(堤真一)とキョウコ(戸田恵梨香)がやってくる。そこへ謎の男ヤスオ(橋
本じゅん)が現れ、3人一緒にガレキの荒野を旅する。
宮城県石巻市出身の作家、辺見庸は、「3・11」の破局を「神話的破壊」と形容した
。「寿歌」に描かれる世界も、「神話的破壊」としか言いようのない想像を絶する光景
だが、人類滅亡の重いテーマを、上方漫才風に軽く受け流すコントラストが奇妙で面白
い。イエスをもじったような名前のヤスオが、聖書に描かれたイエスの奇跡や言行を見
せ、一種の寓話劇でもある。死者の霊のような蛍が、核爆発の閃光(せんこう)と見ま
がうように光り、それがキョウコの子宮に入って身ごもるという宇宙神話的なスケール
も持つ。
俳優3人が関西出身だけに関西弁に弾みがある。リアルな演技の裏に、何か不可視な
ものが隠れている微妙なニュアンスがにじむと上出来だ。廃虚とは、無機化し色を失っ
ているものと思ったが、「美術館の絵のように」という演出家の意向に沿ってか、色鮮
やかで衣装もきれいだ。その明るさは、悲惨な死の中でも、人間の生をあくまで肯定し
ようとする強い意志の表明なのか。それにしても、この舞台が「おとぎ話」に見える日
がいつ来るのだろう。
(編集委員 河野孝)
2月2日まで、新国立劇場小劇場。
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有劇照
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