[SPEC] 東京カレンダー:DIGITAL × CULTURE =?
出處:http://xbrand.yahoo.co.jp/category/entertainment/5759/1.html
└—→ 應該就是《東京カレンダー 2010/12月號》的特集吧。
東京カレンダー:「SPEC?」 DIGITAL × CULTURE =?
撮影:黒田光一 photographs:Koichi Kuroda
文:上杉純也 text:Junya Uesugi
あの「ケイゾク」の続編、「SPEC」は、監督:堤幸彦、出演:戸田恵梨香、加瀬亮を得
て、いかなる世界を築こうとしているのか。いま、ドラマの新しい地平が開かれ、来る
べき世界の登場に見るものは戦慄する。
(圖一圖二,堤導與拍攝幕後 http://goo.gl/Z5GY、http://goo.gl/KLTW)
目の前には巨大な要塞がそびえ立っていた。演出・堤幸彦が陣取った撮影部隊のベース
キャンプ。10月からの新ドラマ『SPEC~警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事
件簿』のロケ現場には、撮影した映像を確認するモニター以外の、もう1台のモニター
が主役としての異彩を放っていた。
「あれは撮影したその場で編集が出来る、同時編集システム用のモニターなんですよ」
こう語るのは、この作品のプロデューサー・植田博樹。同時編集システム──ドラマは
もちろん、映画の撮影現場でも、かなりレアな最新技術だろう。
「実は2007年公開の映画『包帯クラブ』で、久しぶりに堤さんと仕事をしたんですが、
そのときにもう現場にあったんです。非常に便利だなと思いましたね。堤さんの世界観
って、初めて仕事する役者さんの中には不安に思う人もいる訳です。でも、現場で編集
出来れば、こういう世界観で、音楽も含めるとこういう画になりますよ、ということが
、その場にいるスタッフ、キャスト全員にすぐ説明できますからね。その上で不安なと
ころがあれば、そこで修正していけるし、リテイクも割と早めに出来たりしますから」
目新しさは撮影技術だけではない。その見出しがスポーツ紙の誌面に躍ったのは8月中旬
のこと。“人気ドラマの続編『ケイゾク2』が、戸田恵梨香と加瀬亮のW主演で復活”。
そう、あの『ケイゾク』の続編でありながら、本作の主演は中谷美紀と渡部篤郎、柴田
純&真山徹のコンビではないのだ。奇しくも今年は『ケイゾク/映画』の公開から10年後
なのだが……。
左手に包帯をしたニューヒロインが誕生した
(圖三,当麻──左手吊著繃帶的女主角誕生了 http://goo.gl/PKNR)
「オリジナルキャストの気分が変わるのをずっと待っていたんです。実はようやくその
時期かなと、去年の段階で続編的なものを考えていたんですが、内容の面でオリジナル
キャストと折り合わなかったんです。なら、新たなキャスティングでやろうと。丸1年
企画を延ばしました」
そこで、キャスティングされたのがヒロイン・当麻紗綾役の戸田恵梨香とその相方・瀬
文焚流役の加瀬亮。戸田演じる当麻紗綾はIQなんと201。大学時代にFBIに潜り込み、X-
FILEの研究をしてきた変わり種で、しかも“ミショウ”に配属され1年で犯人と格闘し
、左手に大ケガを負っている設定。視聴者には何の説明もなく、ドラマの冒頭から彼女
の左手にはギプスがはめられている状態なのだ。
「左手を吊るっていうのは、ボクと脚本を担当する西荻(弓絵)さんが決めたアイディ
アです。ドラマって普通、真っ当なところから入るんですけど、今回はもうセカンドシ
ーズンくらいの見え方にしたかったんですね。その前に当然時間の流れもあるだろうし
、いろんな因縁もあるんだろうけど、それはもうすでに始まっている話だと。で、そこ
に瀬文という男が入ってきて、因縁の流れの中に巻き込まれて行くという方向性にしよ
うと」
(圖四,第一話的宴會廳,戶田與Staff http://goo.gl/mj4T)
(圖五,第一話開場開場瀨文的槍戰戲 http://goo.gl/w4O9)
一方、加瀬の演じる瀬文は現場の叩き上げ刑事。警視庁特殊部隊SITの小隊長だったが
、ある事件でミスを犯し、“ミショウ”に左遷される。
「瀬文の軍人キャラは堤さんのリクエストです。軍人キャラで軍備オタクで、それが周
りからすると無骨で笑えるというふうにしたかったらしいんですね。あとは加瀬くんっ
て、草食男子のイメージが強いせいか、肉食系キャラを演じていない。なら、それはそ
れですごく面白いんじゃないかっていう確信が堤さんの中にあったみたいですね」
この当麻&瀬文のコンビ、察するにドラマ好きというよりは映画好きな人のほうが見た
い組み合わせなのではないだろうか。
「ベタついていないところがいいんでしょうね。コンビって最初から落としどころを考
えてしまうんですよ。前回の中谷&渡部の場合は最初から“合うな”と思ってたんです
よね。でも、今回は“合うかな?”って(笑)。そういう意味でいうと合わない、ぎこ
ちない感じっていうのが、また新しいのかなと」
そして、このコンビが立ち向かう犯罪者たち──それこそがこのドラマのキーポイント
。通常の人間の能力や常識では計り知れない特殊能力(=UNKNOWN SPEC)を操る犯罪者
との智恵比べが繰り広げられるのだ。だが、超能力をモチーフにしたミステリー作品と
いうと、あの大ヒットしたアメリカドラマ『HEROES』の影響かと勘ぐる視聴者も中には
いるに違いない。
「それは言われるでしょうね(笑)。ただ、『HEROES』って、不思議なことは起きるけ
ど、警察は完全に外から見ているだけですよね。ボクとしては、なぜ警察が取り締まら
ないのかっていうツッコミがどこかにあったんですよ。だからこれに警察が絡むとした
ら、どういうミステリーになるのかっていうのはぼんやりと思ってたんですよね」
さらに植田は言う。“他の刑事ドラマとは一線を画すものでなくてはならない”“堤さ
んとやるのであれば、オリジナリティ溢れるものにしたい”“新しい概念に切り込んで
行けるのは堤さんだけだと思う”……etc.。
「『ケイゾク』から10年経ちますが、その間『ガリレオ』や『Mr.BRAIN』といった作風
のドラマがヒットして、超メジャーになりすぎてしまってますよね。むしろ今後、どう
いう方向性でこうしたクラシックなスタイルのミステリードラマをやるかを考えると、
視聴者が望んでいるものって、やっぱり新しいモノになっていかざるを得ないんじゃな
いかと。ただ、この企画書を渡したときに堤さんは『SFですか?』って(笑)」
そして、世界は反転する
(圖六圖七,而世界反轉了 http://goo.gl/1kuE、http://goo.gl/4DDp)
新しい技術、新しい表現、そして新しい世界に挑戦した『SPEC』。当然ホームページに
もその世界観に相応しい仕掛けが施されるようだ。
「トランプみたいな『SPEC』カード作って、その人のパラメーターみたいなものを表し
てみようかと。それはキャストのパラメーターもありますし、裏サイトでは番組スタッ
フを題材にしたものとかですね。たとえば○○さんは恋愛運のパラメーターは高いけど
、結婚運はないとか、そういった感じのトレーディングカードを作ったりとか。あとは
、ツイッターを使うかはまだ決めてないんですけど、“なう”的なものですね。撮影隊
はこうしています、撮影隊以外はこれをやってますよ、という感じでリアルタイムでボ
クらが何やってるのかをなんとなく伝えられるようなことは考えてます」
忘れてはならないのが主題歌だ。ドラマの主題歌といえばタイアップ曲が定番だが、主
題歌もひと味違うアプローチなのだ。
「それが、リアル『BECK』なんですよ。THE RICECOOKERSといって、アメリカのバークレ
ーの学生さんが組んでいるバンドなんです。たまたま渋谷の小さなライブハウスで彼ら
の演奏を聴いたんですが、それで決めたのが今回の主題歌です。でも、いわゆるメジャ
ーデビューするということではなく、当分はインディーズとしての活動ですね。ただ、
曲はダウンロード出来るようにはします」
最後に、オンエアを前にしての手応えをお伺いしてみた。
「世界観ははっきり見えてきましたね。こういう言い方をすると非常に語弊があるんで
すが、むしろ『SPEC2』とでも言った感じなんです。セカンドシーズンくらいの落ち着き
感があるんですよ。堤さんとしては逆にそこが納得いってないみたいで、もうちょっと
1話は暴力的なほうがいいんじゃないか、みたいなことを言ってますから」
ドラマ「SPEC」はコミック&アニメを超えた!
そこでは、何かとてつもないことが起きているらしい。
「SPEC」はもはやドラマを超え、コミックを超え、アニメを超え、
新しい次元へと進化を遂げる。
(圖八,主角海報 http://goo.gl/p9Z5)
「見たいものを見たいように撮る、といった自由自在さがドラマには必要だと思ってや
ってきたワケですが、一番自分の中でしっくりうまくいった作品が『ケイゾク』だった
んです。そのスピリットを継続して、今の時代に一番自分たちが見たいドラマ、視聴者
に見てもらいたいドラマを作ることが必要なんじゃないかと思ったワケです」
こう語るのは、映像作家・堤幸彦。あるときはドラマディレクターとして、あるときは
映画監督として、“堤マジック”“堤ワールド”と呼ばれる独自の映像美を追求してい
る、映像界の“鬼才”だ。そんな堤が3年ぶりにテレビの連続ドラマに帰ってきた。『
SPEC~警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事件簿』。
彼の代表作とも言える『ケイゾク』の続編的作品だ。その代表作を成功に導いたスピリ
ットを継承、いや、『SPEC』ではさらに発展させていた。
堤演出の真骨頂の一つが、“自由自在さ”だ。例えばそれはカメラの台数を出来るだけ
減らして、一つずつの芝居を様々な角度から丁寧に撮り尽くすということ。要は、いか
にたくさんのカットを撮るか=余計なものをいかに多く撮るかの勝負。切り捨てていく
作業が常識の世界にあって、撮り足していくという手法だが、一瞬の手の動きや振り向
く瞬間の顔の表情……良ければ無駄と思えるカットでもドンドン使っていくのが堤流。
だからこそ、アニメでは表現出来ない、生々しい、リアルな映像が生まれるのだろう。
堤幸彦ワールドを語る主演コンビ
(圖九,預告CM拍攝現場 http://goo.gl/MPDI)
「自由に遊んでくれって。いきなり関西弁でもいいし、ゲラでもいいし。
それが当麻だからって(笑)」──戸田恵梨香。
「最初は瀬文って声大きいキャラだったのに、今ではけっこう編集で切られてる(笑)」
──加瀬亮。
(圖10,第三話導演加藤新 http://goo.gl/xWmt)
(圖11,第四話導演今井夏木 http://goo.gl/XUQI)
リアルさの追求といえば、忘れてならないのが、キャラクター造形だろう。たとえイメ
ージが崩れようと、その俳優や女優が一般に抱かれているイメージの逆に逆に描こうと
している。映画『溺れる魚』で仲間由紀恵に“ゲップ”させたのが、その分かりやすい
例。人間なら誰しもが行うが、見栄や恥ずかしさのために、他人には見せられない行動
を正々堂々と描く。“だって、本当はみんなやってるでしょ”とでも言うように……。
本作のヒロイン役・戸田恵梨香にも大食いさせたり、鼻をほじらせたりと、ある意味、
オンナを捨てた演技を要求している。
「戸田さんそのものを撮ってみたかったんですよね。多分、相当変なことをしてくれそ
うな匂いはしたので、前々から興味があった女優さんだったんですね。片や、コンビを
組む加瀬亮くんは真っ当な、いわゆる草食系男子と言われる演技から映画『アウトレイ
ジ』に至るまで、なんて演技の幅の広い人なんだろうと思ってまして。この二人のカッ
プリングが見たかったので、暴走ぎみの演出になってしまいましたが(笑)」とは堤の
コメントだが、最初に想定した10倍20倍もの演技で返してくるコンビに手応えを感じて
いる。
忘れてならないのが特撮だ。特殊能力を持つ犯罪者との闘いを描く本作だけに、その表
現がチープになった瞬間、すべてが終わるからである。いかにリアルさを表現するか…
…?この重要な特撮で、堤は映画『20世紀少年』3部作で組んだスタッフと再タッグを
組んだ。そのポイントを堤はこう語る。「何せ時間が止まりますからね、CGは多いです
。『マトリックス』のような今までの映像の超現実表現みたいなものを踏まえてはいま
すが、それはあくまでも“洋服”。その裏に何が潜んでいるのかなっていうことを見せ
たいし、期待してもらいたいですね」。続けて「ミショウの3人が何と闘っていくのか
が最も面白いと思いますよ」とも。
リアルさ、という意味で製作体制にも触れておこう。通常のテレビの連続ドラマでは1
人の監督が全話を撮ることは物理的に不可能に近い。そこでチーフに次ぐセカンドやサ
ードといったディレクターの出番となるのだが、1、2話を堤が撮った後の3話を加藤新
が、4話を女性ディレクターの今井夏木が撮ることになっている。加藤は『魔王』や『
オルトロスの犬』を手がけた期待の新鋭ディレクター。今井は『ケイゾク』の8話や『
QUIZ』を経てテレビ版『恋空』でチーフディレクターを、映画版『恋空』で映画監督デ
ビューを飾るなど、今、注目の女性ディレクターである。6話には『木更津キャッツア
イ』でブレイクした金子文紀も控える。堤幸彦を筆頭とする『SPEC』の演出陣。それぞ
れが自身のSPECを映像に反映させている。
戸田恵梨香/当麻紗綾
左手には包帯、キャリーバッグを引きずり、餃子をバクバク食べる、驚異的な頭脳をも
つ天才。これまでのイメージをかなぐり捨てて、ドラマ史上に残るニューヒロインの誕
生に我々は立ち会う。
(圖12:飾演当麻的戶田惠梨香 http://goo.gl/chPS)
戸田恵梨香を当麻にしているのか、
そもそも当麻を生きているのか、
もはやわからないですね。
「プレッシャーというよりも嬉しかったです」
主演女優はこう語った。淡々とした中にもしっかりとした口調で……。戸田恵梨香──
ドラマ『SPEC』でヒロイン・当麻紗綾を演じている。それは奇妙、いや良縁を感じたか
らに他ならない。彼女が好きな女優として挙げている“中谷美紀”。今回の『SPEC』は
、 その中谷の代表作ともいえる『ケイゾク』の世界観に繋がる作品だからだ。
「私にとって中谷美紀さんという女優はすごく遠い存在だったから、そこに少しでも近
づくことが出来るかもしれないっていう喜びなんです」
そして、彼女はこうも言った。
「女性としても女優としても一歩殻を破ることが出来た、大きな作品になっていると思
います」
そう、何の予備知識もなしに、1話のオンエアを観た視聴者は驚いたに違いない。演じる
当麻は、驚異的な頭脳を持つが異常なほどKY。いつもスッピンで真っ赤なキャリーバッ
グを引きずり、餃子をこれでもかというほど食べ、鼻くそもほじる。ある意味オンナを
捨てたキャラ。今までの戸田恵梨香のイメージを大きく覆すものだった。
「何かキレイでいることが嫌だったんです。それこそヘアメイクさんやスタイリストさ
んがついてっていうのに違和感を感じていて……もう普通でいいんじゃないかなって。
そんなときに巡り合った役が、この当麻紗綾という女性。人間の汚い部分というか、人
が恥ずかしいと思うような部分もちゃんとお見せ出来ると思って、かなり楽しんで演じ
ています。6年間やってきたお芝居の中で、一番楽しんでるんじゃないですかね」
だからなのだろう。彼女は当麻紗綾という役柄を完全にモノにしている、いや、さらに
発展させて演じているに違いない。
「私も、当麻と自分の違いがよく分かってない所があって。何ですかね、勝手に体が動
くような感じなんです。だから、演技していても、自分の一部を出してるものなのか、
それとも当麻からもらったものが出ているのかが、もはや分からない。当麻を生きてい
るのか、戸田恵梨香を当麻にしちゃったのか。とても不思議な世界で、今、生きていま
す」
こんなある意味、“暴れん坊”な当麻とコンビを組むのが加瀬亮演じる瀬文焚流。現場
叩き上げの刑事で、最初のうちは当麻のことをまったく信用していなかったのだが…。
「それでも、当麻は瀬文のことをちゃんと見ていると思います。5話ぐらいからはっき
りと出てきますけど、やっぱり当麻にとって必要な存在なんだろうなっていうのは強く
思います」
そう、このコンビは第5話で一つの大きなヤマを迎える。その影響なのか、戸田恵梨香
=当麻紗綾だった感覚に若干のズレを覚えている自分がいるという。
「実は今、5話の撮影中なんですが、ここ最近、当麻のセリフに違和感を感じているん
です。どうにもしゃべりにくくて。セリフが入ってこないし、出てもこないんですよ。
撮影が進んでかなりキャラクター的に安定していたのに……何かが変なんです」
この戸田の不安定な感じが、まさにこの作品のストーリーの行く末を暗示しているので
はないか。そんな気がしてならない。
「実は当麻や瀬文がこの先どうなるか、全然分からないんです。教えてくれないから、
先が気になってしょうがないんです。6話くらいに福田沙紀ちゃん演じる美鈴に触られ
るシーンがあるんですが、そのとき当麻が“触んないでよ!”って言うんですね。疑問
に思って“なんで拒否反応が出るんですか?”って尋ねました。だって、絶対何かある
じゃないですか」
絶対何かある!それこそがドラマ『SPEC』の持つSPEC。この特殊能力の虜になった女優
は今、当麻紗綾として生き、当麻紗綾に翻弄される。
加瀬亮/瀬文焚流
叩き上げの軍人キャラ、髪はこの役のためにばっさり刈って、クルーカット。
今までにない加瀬亮を映画館ではなく、テレビで見られる、これは幸せな奇跡。
(圖13,飾演瀨文的加瀨亮 http://goo.gl/tRML)
後半は破綻してほしい。
視聴者をどんどん置いて行っちゃうくらいに。
「監督が言われるのなら、僕はその通りにするタイプなので、もうスパっと。ただ、“
せっかく伸ばしてたのに”っていう思いは多少ありましたけど(笑)」
主演俳優はこう語った。例の坊主頭を掻きながら苦笑まじりの声で……。加瀬亮がドラ
マ『SPEC』で演じるのは警視庁特殊部隊(SIT)出身の叩き上げ捜査官・瀬文焚流役。
堤幸彦監督から“丸坊主にできますか?”と言われ、覚悟を決めて挑んだ役だ。草食系
男子のイメージが強い加瀬だけに、今回の役は挑戦と言っていいだろう。
「頑固で几帳面、しかも規律を保つタイプの男ですから、精神的に硬直しているときが
多い。疲れる役だなと(笑)」
こう語る加瀬も今や完全に堤幸彦監督の描く“堤ワールド”の住人に。戸田恵梨香演じ
る当麻紗綾との“ドSコンビ”もすっかり板についてきた。普通、コンビものといえば
、主従関係がはっきりしているのがお約束だが、本作はそんな決まり事をあっさりと否
定してしまう。
「新しいですよね。実は堤監督も最初“両方Sか、なんじゃそりゃ!”って(笑)。“
成り立たないんじゃないか”的なこともおっしゃってたんですけど、でもいざ撮影が始
まったら“大丈夫だった”って」
思えば、クランクイン後の最初の記者会見で彼はこう語っている。“堤監督はボクにく
っついているものを壊してくれそうだと思いました”と。独自の世界観、様式美が構築
される唯一無二のその場所に惹かれたのではないか。今回初めて身を委ねた、堤ワール
ドの魅力とは如何に?
「すごく音楽的なんです」
きっかけは、この取材の数日前。5話の撮影中のことだった。 珍しく堤はこう漏らした
という。“ちょっと難しいな”“何かリズムが作れないんだよね”と。
「そこで1、2話を観てもらった人には分かると思うんですけど、映像全体がリズミカル
じゃないですか。芝居の部分はもちろん見ているんでしょうけど、それ以上に動きやセ
リフの言い回し、編集の仕方まですごく音的に捉えている感じがします。多分、人気ア
ーティストのビデオクリップも手がけられている堤監督ならではなんでしょうけど、そ
こはすごく面白いなと」
ここで見逃せない点が一つある。実は5話は、物語を展開していく上で、かなりキーポ
イントなエピソードと言えるのだ。
「いきなりドーンっていう感じでトーンが真面目になるんです。そういう部分での戸惑
いもひょっとしたら堤監督の中にはあったのかもしれないですね」
前号のインタビューで植田博樹プロデューサーは“『SPEC』ではなく、もはや『SPEC2』
とでもいった感じになっています”と語っている。これを受けて加瀬は呟いた。“シー
ズン3が始まった感じですね”と。
「後半の展開ですが、ボクとしては破綻してほしいんですよ。『ケイゾク』ってそうい
う作品だったじゃないですか。ある意味、視聴者をドンドンドンドン置いて行ってほし
いっていうか。それぐらいもうナンセンスになっちゃってもいいのかなって」
次々と新しさを追求する作品が登場するなか、その上をいく新しさや新鮮さで勝負する
のは至難の業。だが……である。
「瀬文からすると、最初のうちは当麻ってブンブン飛んでる蠅みたいな感じだったんで
す(笑)。“うるさいなコレ”みたいな。だけど多分その蠅は一緒に居すぎて、今やも
う仲間になってる、いないと捜しちゃうみたいな。それぐらいの存在になってるんじゃ
ないかと思うんです。だからこそ、瀬文が一番悪いっていうラストを希望(笑)。実は
一番の悪人だったっていうのが、視聴者を裏切る意味でも面白いじゃないですか」
堤ワールドの新しき住人は『SPEC』がSPECを発揮することを待ち望んでいる。
(完)
--
優柔不断な所も好き。
根性ない所も好き。
ひとりじゃなんにも出来ないところも好き。
鈍感な所が好き。
笑った顔が一番好き…。 ──佐藤あおい
--
※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.cc)
◆ From: 125.224.129.115
※ 編輯: mayeve 來自: 125.224.129.115 (10/27 20:49)
推
10/27 21:10, , 1F
10/27 21:10, 1F
推
10/27 21:45, , 2F
10/27 21:45, 2F
→
10/29 10:56, , 3F
10/29 10:56, 3F
→
10/29 10:57, , 4F
10/29 10:57, 4F
TodaErika 近期熱門文章
PTT偶像團體區 即時熱門文章