[情報] 『白夜行』堀北真希、高良健吾 単独イ …
『白夜行』堀北真希、高良健吾 単独インタビュー
累計200万部を突破し、これまでに舞台化やテレビドラマ化されてきた東野圭吾の人気
小説を、映画『60歳のラブレター』などの俊英・深川栄洋監督が映画化した『白夜行』
。ある殺人事件をきっかけに複雑に絡み合う人間関係を、19年間にわたって事件を追い
続ける刑事の視点で描く重厚な人間ドラマが繰り広げられるが、その渦中にいる男女を
堀北真希と高良健吾が好演した。東野原作の人気の理由や初の悪女役の感想、お互いの
印象や役へのアプローチまで、さまざまな話を聞いた。
■新生『白夜行』は、生々しいパワーが圧倒的!
Q:まったく新しい『白夜行』誕生として期待が高まりますが、ご自身ではどう受け止め
ましたか?
堀北真希(以下、堀北): 映画に出てくるすべての登場人物に、人間の迫力みたいなも
のをすごく感じました。「白夜行」に対する思いはキャストの皆さん、それぞれ違った
と思うのですが、強い思いがスクリーンから出ているようでした。それが笑わせてくれ
るような親切なエネルギーではなくて、生々しいパワーだったことが、今回の映画版『
白夜行』の魅力になっていると思います。
高良健吾(以下、高良): 僕は、ほかの人の心情や様子を知る必要がない役柄だと思っ
ていたので、撮影中は自分のシーンに集中していたんです。だから、本編を観たときに
、船越(英一郎)さん演じる笹垣の愛を感じて泣きました。一人での撮影が多かったせ
いか、完成した映画を観て受けた印象が、それまでのイメージと全然違いました。
Q:原作は大変な人気作ですよね。今回全身全霊で力を注いでみて、人気の秘密はわかり
ましたか?
高良: 「白夜行」は絶対的に救いのないストーリーの中に、いちずな愛やサスペンスな
どさまざまな要素が織り込まれているからだと思います。でも、去年公開された映画『
告白』や『悪人』にお客さんが入ったのは、案外こういう色合いの作品が求められてい
るからだと思うんです。
堀北: 東野さんの作品の中には、サイエンス的な要素が入っているものが少なくないと
思うんです。人間ドラマとして終わるのかと思っていたら、最後はすごく科学的なトリ
ックが待っていたり。「白夜行」は、その中でも別格のジャンルのような気がしていて
、人の感情が渦巻いている物語だと思います。
■緻密(ちみつ)な計算が必要だった役づくりとは!?
Q:堀北さんにとって初の悪女役も話題ですが、直接的なシーンがない分、工夫が必要で
したか?
堀北: はい。難しかったです。雪穂には罪悪感がないという設定をわたしはしていたの
で、いい人で終わってしまう危険があって、そうなると根本的に違う話になってしまう
。すべてが明らかになったときに初めて、「雪穂は怖い!」と思ってもらわないといけ
ないから、その表現は難しかったですね。雪穂の怖さは特別な怖さであるというのが「
白夜行」の魅力。それをお客さんにどうやって伝えようかと、今回は自分の中でかなり
計算しながら演じていたと思います。
Q:高良さんは、雪穂を陰で支える亮司という男を演じるため、どんなアプローチをしま
したか?
高良: 最初は、亮司が人間としては死んでいるように見せるために、気持ちを押し殺し
て淡々と演じようとしていました。でも、深川監督と話し合い、もっと温かみを持って
、悩ましい、処世術にたけた人間にしようということになりました。あとは、ずっと異
様な雰囲気でいるというよりは、この人の前にいるときはこういう感じ、この人の前で
はこんなふうに見えるようにと演じるようにしました。例えば、典子(粟田麗)とのシ
ーンでは本気で典子を愛しているように見えるように。学生時代も普通の学生を演じる
のが特に大変な作業だったと思います。常に人をだましているような感覚がすごく気持
ち悪かったです。
■堀北の第一印象はミステリアス!?
Q:本編ではほぼ絡まないという共演でしたが、撮影終了後に話したいこともあったので
は?
堀北: 高良さんが現場でとても苦しい思いをしていたと聞いたので、「大丈夫?」って
声を掛けたかったです(笑)。作品に入るとわたしも役に集中してしまうので、撮影終
了後に役から抜け出せなかったらかわいそうだなって思っていました。
高良: 僕は、堀北さんは普段何をしているのかとか、どんなときが楽しいのかなどと考
えていました。ミステリアスな印象が強かったですし、今でも強いので……。
堀北: それはわたしも思いました。自分と年齢が近くて同じお仕事をしている人だと、
何をして遊ぶのだろうかとか、すごく気になったりします。学生同士の友達なら皆で集
まって楽しんでいる姿などが見えるけれど、同じお仕事をしていると生活のリズムも忙
しくて一定じゃないので。
高良: 本当にミステリアスなんですよ(笑)。
堀北: え~っ! どうしてそう見えるのかな。
Q:一般的に同世代の場合、オフカメラの間に演技や仕事の話に花が咲くと聞きますが。
高良: いえ、そういうのはまったくないです。
堀北: わたしもそういう話はしないかなあ。
高良: 僕は人に何かをしてほしい、こうあってほしいという気持ちがあまりないんです
。全員違っていいって思います。
堀北: お芝居の話をするときって、共通の言葉がないと思うんです。言葉で伝わるもの
ではなかったりするから。深川監督も同じ考えだったと思います。本番中は、わたしな
りのお芝居で伝えたいことを示していました。
Q:高良さんは、深川監督のささやくような演出に悩まされ、助けられていたそうですね
。
高良: 監督が言われていたことは、10挙げて10こなす人もいれば、1か2かしか挙げない
のに、10できる人もいるということでした。僕の場合は、典子とのシーンでは細かく指
示されましたが、基本的には「お前は孤独だ」とか、一言での演出が多かったです。
■演技で心は殺せるのか!? 芝居への向き合い方に変化
Q:コピーに「殺したのは、心」とありますが、まさしく心を殺しながら演じられたので
しょうか?
高良: いえ、自分の心は殺さなかったです。僕には私生活がとても大事で、仕事が忙し
いと生活のすべてが作業になってしまうんですね。そうじゃなくて、飯を食ってうまい
と思うべきだし、風呂に入って気持ちいいと思ったほうがいいに決まっていると思う。
その方がリアルじゃないですか。だから、自分の心は殺せない。なるべくうそはつきた
くないといつも思っていますね。
堀北: わたしは、殺せますね。この役に徹すると決めていたから、自分の感情はすべて
心の下に押し殺して演じていました。だから集中しなければいけないシーンばかりで、
撮影中の細かいことは、ふわふわしていてよく覚えていないのが正直な感想なんです。
Q:そんな『白夜行』に参加されて、俳優としてのご自身は、今後どう変わっていくと思
いますか?
堀北: この作品に出会う前は、人の求めていることに応えたいという気持ちが強くて、
監督や周りの人の期待に応えたいと思っていました。でもこの作品に関してはとても自
分の欲が入ったというか、自分がしたいことを入れさせていただきました。それは「白
夜行」という原作の存在があり、撮影に入る前に読み返していたからだとも思うのです
が、自分の強い思いを表したいと思ったので、納得がいかないことには納得がいかない
と言いましたし、そういう仕事への向き合い方もあるんだなと思いました。自分にもで
きるんだなということが新しい発見でしたね。
高良: 僕が芝居を始めてから常に一貫して思っていて、言っていることは、当たり前の
ことができればいいなと、それだけなんです。そこはシンプルです。確実に状況は変わ
ってきていると思いますが、変わらないことをすごく意識しています。
映画『白夜行』は1月29日より全国公開
取材・文: 鴇田崇 写真: 吉岡希鼓斗
http://movies.yahoo.co.jp/interview/201101/interview_20110127001.html
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