【詳細レポート】倉木麻衣、「胸がいっぱいです
【詳細レポート】倉木麻衣、「胸がいっぱいです」
2017-04-07 22:10:00
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4月2日、東京・国際フォーラム ホールA、<Mai Kuraki Live Project 2017“SAWAGE☆
LIVE”>のツアーファイナルを観た。約5年ぶりのオリジナルニューアルバム『Smile』
で表現した様々な笑顔の形を、2年半ぶりのツアーでどう体現するのか。ジュークボッ
クスやサインボードなど、アメリカンオールディーズなムードで飾られた明るいステー
ジと、映画のナレーションのような洒落たアナウンス。「5年の時を経て、新しい時が
始まる」──18時、待望の幕が開く。
1曲目は「Make that change」。アルバム『Smile』の中でも特にアグレッシヴな1曲で
、場内のムードは一気にロックコンサートへとチェンジ。黒のライダースをアレンジし
たタイトな服に身を包み、拳を振り上げて歌う倉木麻衣を、ダンサーたちが激しいダン
スでサポートする。そのまま「SAWAGE☆LIFE」へ、そして「Love, Day After Tomorrow
」へ。あの繊細でメロディアスなR&Bチューンが、ロックな流れの中でより力強くダン
サブルに感じられるのが新鮮だ。おなじみの“LOVE”の振り付けパフォーマンスに加え
、「SAWAGE☆LIFE」でも“SAWAGE”の振り付けを披露して、会場内の一体感はぐんぐん
高まってゆく。
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「I Like It」はラテンハウス調のダンスチューンでノリノリ、「OPEN L♡VE」はファ
ンキーにゆらゆら、そして「Tell me why」はしっとりムードのメッセージバラード。
アッパーな曲が印象的な『Smile』の中でも、ちょっと違う個性を主張する曲たちがひ
ときわ輝いて聴こえるのは、ライブという場あればこそ。「OPEN L♡VE」でのハートの
クッションを使ったパフォーマンスなど、キュートな一面もたっぷり見せてくれる。バ
ンド、ダンサー、そして倉木麻衣、全員が絶好調だ。
ここでちょっと一息、スクリーンに映し出されたのは『Smile』への思いを語るインタ
ビュー。ここ数年の活動、特にカンボジアでの体験が「どんな時も笑顔を忘れずに」と
いうテーマにつながったという説明は、アルバムの歌詞にもしっかりと反映されている
のがよくわかる。
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着替えを済ませ、自らデザインをオーダーしたというあでやかなドレスをまとって再登
場すると、ここからはバラード中心にしっとりと。ピアノと歌で聴かせる「ミステリー
ヒーロー」、スパニッシュギターの響きがせつない「硝子の微笑」、バンド一体とな
って豊潤な音を奏でるバラード「My way」。「Stay by my side」では、波のように揺
れる客席の青いペンライトと、ステージからあふれ出す白い光が一体となった幻想的な
空間が現れた。演出、セット、照明、そしてオーディエンス、すべてのバランスが整っ
た美しい光景。こんなシーンを、この日は一体何度見たことだろう。
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中盤には、『名探偵コナン』とのコラボレーションコーナーがたっぷりと用意された。
「Secret of my heart」「Time after time ~花舞う街で~」「風のららら」と、スク
リーンに映像を映しながら、生演奏による巨大なホームシアターを楽しむような贅沢な
ひととき。倉木麻衣はチアリーダー風のキュートな衣装、「PUZZLE」ではダンサーを従
えて激しいダンスを、「DYNAMITE」では手拍子を求め、拳振り上げ、ステージ狭しと動
き回る。盛り上がりが最高潮に達したのは「一秒ごとに Love for you」で、スペシャ
ルゲストのLa PomPonと共に歌い踊り、オーディエンスにコール&レスポンスを呼びか
け、「トーキョー、サワゲ、ライフ!」と繰り返すその表情は、絵に描いたような満面
の笑みだ。
その勢いをキープしたままで「MY VICTORY」、そしてこの日二度目の披露となる「
SAWAGE☆LIFE」ではLa PomPonが再登場。ダンサー8人+La PomPonの6人が、圧巻のダン
スパフォーマンスを繰り広げる。間奏ではサインボールを次々と客席に投げ込み、ここ
まで20曲を歌ってきた疲労などカケラもなく、倉木麻衣は走る、跳ぶ、回る、騒ぐ、そ
して歌う。まったくあの華奢な体のどこに、これだけの圧倒的なエナジーが詰まってい
るのだろう?
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アンコール。劇場版最新作『名探偵コナン から紅の恋歌 (ラブレター)』主題歌のニュ
ーシングル「渡月橋 ~君 想ふ~」を、片振袖の和装ドレスを身にまとってあでやかに
披露する。続けて同じ曲のミュージックビデオのフルバージョンをスクリーンで流し、
コナンのファンも大満足。その間にツアーTシャツとデニムのパンツというラフな服装
に着替え、笑顔いっぱいの倉木麻衣がオーディエンスに呼びかける。
「楽しい時間をありがとうございます。胸がいっぱいです。久しぶりのライブというこ
とで、新しいことやいろんなことに挑戦して、忘れられないライブになりました」──
倉木麻衣
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と、ここでステージ後方にもぞもと動くあやしい赤い影が……誰だ? にゃんごすたー
だ! すでに共演経験のある一人と一匹(?)は早速筆談トークで盛り上がり、にゃんご
すたーが特別に用意されたドラム台に座ると、始まったのは「Stand Up」。倉木バンド
の車谷啓介と壮絶なドラムバトルを展開するなど、1曲入魂でとことん盛り上げ、ドラ
ム台ごと運ばれて去ってゆくにゃんごすたーに送られる暖かい拍手。この日のテーマ「
笑顔」が最高に似合う名シーン。
楽しい時間はまだ終わらない。客席を埋め尽くす虹色のペンライトの美しさに「とって
もきれいです。今年は酉年だけに色とりどりな」と、かわいらしい駄洒落が飛び出した
のも、彼女がこのステージを心から楽しんでいる証拠だろう。「ここから一歩一歩、夢
を持って歩いていきましょう」という言葉の次に歌われた「Serendipity」、そして希
望のバラード「きみへのうた」と、頑張る人に捧げる倉木麻衣ならではの応援歌も、よ
り明るく力強く響いてくる。
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ラストチューンは「always」。虹色に輝くフットライトに照らされて、バンドメンバー
、ダンサー、La PomPon、そしてにゃんごすたーと、本日の出演者が勢ぞろいしての一
大フィナーレ。どこを見ても笑顔、笑顔、笑顔。一人ずつていねいにメンバー紹介した
あと、全員揃ってのラインナップ。最後はマイクを通さない生声で「最後までありがと
うございました!」と叫んで、3時間近くにわたるライブは幕を閉じた。
倉木麻衣の新たな面を開拓したアルバム『Smile』の世界を、多彩な演出と完璧なパフ
ォーマンスでより大きく広げて見せた華やかなライブショー。久しぶりのツアーにも関
わらず、ブランクどころかむしろパワーアップした姿を見せてくれた倉木麻衣、それを
待ちわびていたオーディエンスにとっても、忘れられないツアーになっただろう。次も
早く観たい。もう2年半も待たせないでねとお願いしたい、素晴らしい一夜だった。
取材・文◎宮本英夫
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