[新聞]「オルフェンズの涙」liner notes 之二

看板MISIA (MISIA - 米希亞)作者 (Endless World...)時間9年前 (2015/11/20 21:27), 編輯推噓0(000)
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http://misiasp.com/2015sg02/ 「オルフェンズの涙」LINER NOTES  なんて丁寧に言葉を歌う人なんだろう、というのが僕にとってMISIAに対するもっと も大切な印象である。それは今も昔もまったく変わらない。大胆なヴォーカリゼーショ ンで、あらゆる旋律を自分のものにしていくスタイルもまたたまらなくMISIAを感じさ せるが、それでもなお、「言葉」に対する姿勢はいつだって誠実で、歌詞のひとつひと つは美しく歌われていく。それはもちろん、MISIAの発声が美しく、歌詞のひとつひと つが聞き取りやすい、ということでもあるが、それ以上に彼女が常に失くさずに持ち続 けている思いにこそ、その素晴らしさはあるのではないか。つまり、歌とはまず、メッ セージを伝えるものであれ、という真摯なる姿勢のことだ。  MISIAにとって配信シングル含め39枚目のシングルとなる本作『オルフェンズの涙』 はまさに、そんなMISIAの姿勢が生んだ、「希望」と「祈り」のシングルである。本作 はとても大きな意味を持ったふたつのコラボレーションによって生まれている。ひとつ は、エンディングテーマに抜擢されたTVアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェン ズ』との出会いだ。 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は深く長いガンダムの歴史の中でも、例を 見ないほどに主人公たちの少年たちの挫折や成長といった「人間」的なる部分に焦点を 当てた物語だ。「オルフェンズ」=「孤児たち」というシリアスなテーマに取り組んだ アニメ作品と同じく、「オルフェンズ」という言葉を選び、歌詞を書き、歌ったMISIA 。当然ながら、その胸のうちには様々な思いがあった。  「最初にお話を頂いたときは、『なぜ私だったのかな』と思ったくらいなんです。で も、『オルフェンズ』という意味で、つまり『孤児』というテーマから私に話を下さっ たのかなと。これまで、アフリカでも日本でも児童養護施設に伺って、親がいない子供 たちに会ってきましたし、子供たちに伝えるメッセージを歌えばいいのかなあと思い、 歌詞を書いていった感じでしたね」  ひとりの人間としての、あるいはシンガーとしてのMISIAにとって「子供たちに何を 伝えるのか」というテーマは何より大きなものだ。あの豊かな情感を湛えた圧倒的な歌 は、そのテーマに根差しているからこそ、いつも強く鮮烈にまっすぐに響いてくる。そ れはまさに、MISIAにとって、MISIAという存在を成立させる存在意義のひとつ、とも言 えるようなテーマなのだと、僕は考えている。  「最初は、『子供たちに』というメッセージで書き始めて。その時はまだオルフェン ズという言葉も使わずに、『子供たちに』という言葉で書いていたんですね。でも、物 語を考えていくと、『オルフェンズ』という言葉を使って思い切ってメッセージを振り 切っていったほうがいいんじゃないかって。だって私も何度も会ってきたわけですから 。今回のガンダム作品はそもそも孤児たちが中心ですし、子供たちしか出てこないシー ンが多いですし、思い切ってテーマを絞って書きました」  僕が冒頭に書いた「MISAとは言葉の人だ」という考え方。その意味で、この楽曲は究 極的なものだと思う。言葉がこの上なく丁寧に扱われ、そしてそれこそ子供たちに伝わ るようにわかりやすく伝わってくる。トレードマークとも言えるような、体の動きと心 の動きを繊細にトレースするように自由に舞い上がっていくあの歌い崩しは要所に抑え られ、MISIA自身、言葉の響き、歌詞の伝わり方を愛情をもって扱っているように感じ る。戦いに殉じざるを得ない少年たちの運命を、祈りと希望の言葉に託し、包み込むよ うに歌い上げている。MISIAがMISIA自身の歌を歌おうとしただけではこの優しい響きは 生まれなかっただろう。MISIAにとって人生的なテーマでもある「子供たち」あるいは 「孤児たち」への大きな思い。その思いが生んだ言葉、そしてたおやかな歌であると言 えるのではないだろうか。  そして、この楽曲はもうひとつ、MISIAにとって大事なコラボーションを果たした楽 曲となっている。それは、作曲・編曲を手がけている現代音楽の大家、鷺巣詩郎氏との 邂逅である。これまで何度も共同作業を重ねてきた両者だが、“オルフェンズの涙”は やはり特別な楽曲になった、とMISIAは語る。  「鷺巣さんの曲は、歌いながらいろいろ教えて頂くようなところがあるんですよね。 だから、自分の中でもバトルして歌うっていう感覚はないですね。曲の中に身を置こう という感じで歌ってるので。化学反応が面白いっていうのは結局、元素自体が中途ハン パなものじゃないっていうことだと思うんです。どちらかがHで、どちらかがOだから 、H2Oになるわけで。そういう意味では、頑張りすぎなくても、その場で一生懸命歌え ばカッコいいサウンドにしてもらえるっていう信頼はありますね」  壮大なメロディと宇宙的な広がりを持った豪奢なストリングスアレンジ。さらに、 MISIAいわく、「一度旅をして戻ってくる」ような、変幻自在にして大きな何かに導か れるようにして展開していく構成もまた鷺巣詩郎楽曲の凄みを感じさせるもので、実に スリルがある。一方で、世界中で活躍する名うてのミュージシャンによるフリースタイ ルの生演奏も印象的で、「子供たち」に向けられた楽曲でありながら、いや、だからこ その、MISIAと鷺巣氏の本気が迸った素晴らしい仕上がりになっている。  「制作に関わっている方が本気な人ばっかりなので(笑)。そこは本気で取り組めば そういう作品になっていくと言いますか。わかってくる、声が聞こえてくるんですよね 。『本気で自分の歌と言葉を出しなさい』っていう(笑)。だから、難しいことをしよ うと考えることはなくて、どれだけ本気で向かうかっていう感じでしたね。鷺巣さんの 曲は、かなり歌いこまないとダメなんです。自分の中に入ってくるまで時間がかかる。 どうしてこのメロディはこうなっているのか、なんでAメロが2回あるのか、なんで間奏 がこうなっているのか、全部理由があって。気持ちよく歌うだけじゃわからないところ があって。何度も何度も歌って理解していく。鷺巣さんはクラシックから近代音楽まで 全部網羅している方なので、言葉も、モダンな言葉からクラシックな言葉まで色々なも のを引き寄せてくださるんですよね。だからこそ今回も、『強者たちの夢のあと』って いう俳句の一節を使ってみたりして。それもはまるんですよね。すごく鷺巣さんらしい メロディだなと思いますね」  確かに、MISIAの歌詞、メッセージはここにきて、過去最高にストレートに放たれて いるように聞こえる。そして、何よりその思いはまるで「今、このタイミングで、この 曲を歌うべきだった」かのように、迷いなくまっすぐに歌われている。力強く伸びやか で、大きな包容力をもった歌。大胆に言わせてもらうならば、シンガー、MISIAにとっ ても大きなブレイクスルーを果たした楽曲になったのではないだろうか。  「『闇夜に浮かぶ青い光に孤独を隠す』っていう歌詞は、携帯の光のことなんです。 電車でも寝る前でもみんな携帯を触っていて。寂しさを埋めるために依存しちゃうって いう。そこから一回顔を離してもらえたらいいなっていうところからスタートしてるん ですよね。ガンダムの物語も今の生活からしてみればファンタジーの世界ではあるんだ けども、等身大の子供たちの心に響くメッセージがあって、そのべーシックになってい る部分は外さずに書きたいっていうのは思いました」  さらに、この楽曲の根底にある、そしてMISIA自身の生き方においても重要なテーマ になった「子供たち」へのスタンス。その本質をこう語ってくれた。  「子供たちが子供であるうちは何気に口ずさんでもらえたら嬉しいですよね。そして 、大人になったときにふとメッセージの意味が伝わったらいいなと思いますね。音楽っ てそういうところがあるじゃないですか。戦う意味というものを考えて戦ってほしいん です。子供の世界は大人の世界に翻弄されていくものなんですけども、翻弄されなくて もいいんだよって。戦ってもいいし、逃げてもいいし立ち止まってもいいし、それがど こかで伝わればいいなと思いますよね。人生だって仕事だって、戦う場面はいっぱいあ ると思う。頑張れっていうのは簡単ですけども、この歌を聴きながら、どこかで伝わる といいなと思いますね」  このように、とても重要なふたつの出会いによって生まれたMISIA39枚目のシングル 『オルフェンズの涙』は、日本を代表するシンガー、MISIAの本質を今世に放つ力強い 作品である。そして、この作品はのちのち振り返ったときに、MISIAにとってもきっと 、「新しく、大きくなったMISIA」との出会いとして思い起こされるのだと思う。重要 なのは、我々リスナーにとってもそうなんじゃないかということだ。世代を超えていく ストレートで慈悲深い愛情を歌う表現者、MISIAとのあらためての出会いとなる『オル フェンズの涙』。そんな作品の誕生を素直に喜びたいと思う。 -- https://www.facebook.com/MISIAsupporter MISIA 情報彙集應援專頁 -- ※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.cc), 來自: 118.232.236.183 ※ 文章網址: https://www.ptt.cc/bbs/MISIA/M.1448026046.A.6A1.html
文章代碼(AID): #1MJn--QX (MISIA)
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