[新聞] 「国際生物多様性の日」対談
看板MISIA (MISIA - 米希亞)作者CrystalDays (Endless World...)時間14年前 (2010/05/22 17:45)推噓0(0推 0噓 0→)留言0則, 0人參與討論串1/1
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20100522ddm010040172000c.html
特集:きょう「国際生物多様性の日」(その2止) 対談 MISIAさん/武内和彦
氏
生物多様性を保全することは、貴重な野生生物を存続させるだけでなく、食料の供給な
ど私たちの生活に深く関与している。国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP
10)名誉大使で歌手のMISIAさんと、生物多様性研究の第一人者である武内和彦
・国連大学副学長は、国内外の状況を自分の目でみつめてきた。その経験を踏まえ、語
り合った。司会は中井和久・毎日新聞東京科学環境部長が務めた。
◆「知識」と「意識」が大事 身近な生活に解決策
◇MISIAさんはアフリカの子供たちを支援する活動を続けています。
MISIA ケニアに行った際、工場排水が原因で魚が取れなくなることもあると知り
ました。豊かになろうとして結果的に貧困を招く現実。貧困問題と環境問題は深くつな
がっているのだと。もし、生物多様性に配慮した開発ならば、共生の道があったかもし
れない。そういう面からも生物多様性を考えたいと思い、名誉大使を引き受けました。
今月、幼少期を過ごした長崎県対馬を訪れました。ここでは、ツシマヤマネコが100
匹前後に減っています。自然豊かに見えるだけに驚きました。でも、地元も自然を壊し
たいわけではありません。人間が自然とどう折り合いをつけて生きていくかが大切です
。
◇ツシマヤマネコは、「里山」という人里と森が重なり合う地域に生息していました
。
武内 農村の過疎化で人手が減ると機械による田畑の整備が行われますが、一方で、手
入れをしない森林が増えています。人間寄りの空間と放置された自然の両極端になり、
中間で生きていた生物の行き場が失われます。重要なのは絶滅危惧(きぐ)種を残すだ
けでなく、それらが生きられる環境にするよう、人と自然のかかわりを良くしていくこ
とです。
里山問題の背景には食料など生活物資の多くを輸入に頼っている点があります。輸出
国の生態系を壊して豊かな生活を享受する一方、国内の森林や田畑を放置している。日
本のような先進国が途上国の資源に依存しているという「ひずみ」が大きな問題です。
◇海外にも里山の概念はありますか。
武内 スペインのカシの疎林では、コルクを生産すると同時にイベリコ豚を飼い、ドン
グリを食べさせて良質の肉を生産しています。品質も高い。大事なのは我々が自然から
持続的に恵みを得るのか、食料を一時的に安く大量に入手する方法を採るのか、という
問題なのです。
MISIA 貧困問題を考える時、何が人間にとって幸せなのかと問いかけられるので
すが、生物多様性も同じです。
武内 我々は近代化で多くを得ましたが、多くも失いました。生物多様性の減少などを
抑えると同時に、従来の近代化と異なる生き方を探していく必要がある。経済的な収益
が上がれば良いのか。我々が失った「もう一つの豊かさ」を考えていくことでしか解決
しえないと思います。
◇「生物多様性の損失速度を10年までに顕著に減少させる」という条約締約国の目
標は達成できませんでした。
武内 理由の一つは、明確な施策につながる目標がなかったことです。例えば水質なら
ばどこまで、と明示すれば技術開発が進む。また、人間の経済活動と生物多様性の問題
も切り離して考えてきた。企業や市民に議論にどのように参加してもらうかも大きな課
題です。
◇里山も生物多様性ももっと広く伝えたい。
MISIA 人は幸せになるために歌うと思います。歌には伝える力もあります。アフ
リカの人々が歴史を歌い継いできたように、私も歌で人の伝統の中に生き続けるメッセ
ージを伝えたい。生物多様性を身近に考えるきっかけを作りたいです。夏からの全国ラ
イブで、国連大などと協力して学んだことを伝えたいと思っています。また、「SAT
OYAMA BASKET」(http://www.misia.jp/satoyama)というサイトを設置し
、対馬のことなども紹介していきます。大事なのは「知識」と「意識」です。
武内 生物多様性の問題を解決する鍵は身近な生活の中にあります。アマゾンの森や生
物が失われるのを見て「かわいそう」と思うだけでなく、これからどうすべきかを考え
てほしい。COP10では主に20年までの目標を議論します。これからの10年で我
々が意識と行動を変えれば生態系も里山もよみがえるはずです。【構成・隅俊之、大場
あい】
◇
国連大学は23日午後1時半から、東京都渋谷区の国連大学本部で、里山・里海をテ
ーマにしたシンポジウムを開催する。
◆現状と課題
生物多様性をめぐる現状と課題を整理した。
■大切なつながり
生物多様性条約では、生物多様性とは三つの多様性を指すと定めている。一つが、た
くさんの種の生物がいる「種の多様性」だ。国際自然保護連合(IUCN)によると、
地球には未知の種を含め3000万種の生物が存在すると推定される。サンゴ礁や干潟
などさまざまな自然がある「生態系の多様性」、同じ種でも遺伝子の違いで個体差があ
る「遺伝子の多様性」も重要だ。
生き物は、食べたり食べられたり、天敵を撃退してもらったり、花粉を運んでもらっ
たりして互いを直接、間接に必要としている。すべての生命の存立基盤が生物多様性と
いえる。人類に対する「生態系サービス」の豊かな恩恵も見逃せない。例えば、森林は
災害を軽減し、木材資源を提供する。微生物は医薬品開発に貢献している。食べ物も私
たちの心を癒やす景観も、生き物の営みがあるからこそだ。もし、ある生き物が絶滅す
ると、それを餌とする別の生き物の生存も脅かされる。こうした負の連鎖は人類に及ぶ
。
■悪化する多様性
今月10日に公表された国連報告書によると、生態系や種、遺伝子のいずれも多様性
の損失が続いている。
1970~2006年に3分の1の脊椎(せきつい)動物が失われた。両生類は42
%の種で数が減少し、約4分の1の植物は絶滅危惧(きぐ)種だ。
現在、地球全体で年間約4万種の生物が絶滅していると言われる。過去の絶滅速度は
1600~1900年には年間0・25種だったが、1900~60年に同1種、60
~75年に同1000種と急激に悪化。将来はさらに現在の10倍以上の速度で失われ
ると予測する。
原因には、開発行為による自然破壊▽外来種や化学物質▽地球温暖化▽耕作放棄や森
林の手入れ不足による環境変化--の4点がある。国連は今後10~20年で有効な対
策がとられないと、二度と多様性を回復できない「転換点」を迎えると警告する。
環境省は、国内でも森林、農地、都市、陸水、沿岸・海洋、島しょの6地域のいずれ
も多様性が悪化していると指摘。評価対象の野生生物の約3割に当たる3155種が絶
滅危惧種に指定されている。
■私たちも行動を
野生生物の観察も多様性を知るきっかけになる。日本野鳥の会は「公園などで野鳥を
観察すると、餌にしている昆虫に気付く。生き物のつながりを実感できます」と呼びか
ける。
また、外国産のペットは野外に放さず、最後まで飼うことも生態系を乱さないために
大切だ。多様性保全に取り組む企業の商品を購入し、その企業を応援するという方法も
ある。
生物多様性条約市民ネットワーク共同代表の吉田正人・筑波大准教授は「生物多様性
は急速に失われているが、今なら間に合う。市民、政府、企業などあらゆる関係者が連
携して全力で取り組んでいかなければならない」と話す。【江口一】
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■人物略歴
◇ミーシャ
長崎県出身。98年のデビュー以来、歌唱力に定評があり、国内外で人気を博してい
る。近年のアフリカにおける子供の教育支援活動などが評価され、COP10名誉大使
に就任した。
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■人物略歴
◇たけうち・かずひこ
和歌山県出身。08年から現職。国連大学サステイナビリティと平和研究所所長、東
京大学大学院農学生命科学研究科教授などを併任。専門は緑地環境学など。
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