[訪問] TERU&JIROが語る豪雨の函館ライブ
http://www.glay.co.jp/news/3rd.php?id=1383648751
http://natalie.mu/music/pp/glay02
今年7月末に地元函館で2日間にわたる凱旋野外ライブ「GLAY Special Live 2013 in
HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」を開催したGLAY。「晴れバンド」と
して知られる彼らだが、この公演では悪天候に見舞われ、特に2日目は豪雨の中でのラ
イブとなった。しかしそんな状況の中でもメンバーもオーディエンスも笑顔を浮かべ、
全身全霊でライブを楽しんでいた。そんなドラマチックな2日間の模様が、いよいよ11
月27日に映像化される。
今回ナタリーは、TERU(Vo)とJIRO(B)の2人にインタビューを実施。雨がGLAYにもた
らしたものはなんだったのか? 初の大規模な凱旋ライブで感じたことや、ファンへの
思いとともに故郷での2日間を振り返ってもらった。
取材・文 / 中野明子
「晴れバンド」から「全天候型バンド」に
TERU(Vo)
──ライブから約3カ月が経ちますが、振り返ってみて2日間が終わったときの心境って
どんなものでしたか?
TERU(Vo) ほっとした、ですかね。それが最初の気持ちですね。楽しかったっていう
よりも、終わってよかったーっていう。
──GLAYはこれまで大規模な野外ライブを何度も開催してますが、それらとの違いはあ
りましたか?
TERU 地元の函館っていうこともあって、市とタッグを組んで街中をGLAY一色にしたと
いうのは初めてでしたね。空港でGLAYの「Eternally」がかかってたり、どこに行って
もGLAYの曲が聞こえてきたり、僕らを応援するフラッグやビルボードが街角に飾ってあ
ったり。函館とGLAYの密接な関係性の中でできたライブだったと思いますね。
JIRO(B) そもそも函館でこの規模でライブをやるのが初めてだったんですよね。っ
てことは、このプロジェクトに関わる人たちにとっても、すべてが初めてのことだった
。だから想像できないことが多すぎて。その中で周りのスタッフが、函館市の行政の人
たちと関わってくれて、下地を作ってくれて。ファンの子たちにもすごい大変な中、函
館まで来てもらってその中で見えた信頼関係もあったし。みんなが大変な思いをしたぶ
ん、ほんとに無事終わってよかった。あと2日目が土砂降りでしたけど、あれはファン
と僕らとスタッフをつないだ、いい雨だったんじゃないかなと(笑)。
──今回のライブは「雨」がひとつのキーワードになってくると思うんですよね。
TERU ですよね(笑)。今回は雨が原因で当日のリハーサルがほとんどできなかったん
です。いつもだったら、何がなんでもリハーサルをやって音を出さないと不安でステー
ジに立てないんですけど、10年以上一緒に歩んできてるスタッフもいて、その中で信頼
関係があったからリハーサルを30分で切り上げて本番に臨むことができた。
──函館入りする前に練習を積み重ねてるわけですが、本番になったときどんなところ
が変わりましたか?
TERU 音の広がり方とか、リハーサルではしっかり聞こえてた音が野外でやった瞬間に
、ハイハットが聞こえなくなったりとか。あと今回の函館のライブに関しては花道がT
字になってて、そこでの音の確認も念入りにしたかったんですけど、天候的にそうもい
かなくて。演奏自体は自信はあったんですけども、1日目の「口唇」で出だしに失敗し
ちゃいまして。全員がつなぎの確認を忘れてたっていう。やっぱ練習もしないとダメだ
ねっていうこともわかりました(笑)。
JIRO ははははは(笑)。
──雨が降ったことで「晴れバンド」という肩書きは失いましたが、その点はどう感じ
てますか?
TERU いやよかったなと。それが今まではプレッシャーだったんで(笑)。
──プレッシャーだったんですか?
TERU 毎回毎回「晴れ男がいるので大丈夫ですよね?」とか「私はカッパを持っていき
ませんから!」って言うファンの子がいたりとか。「一応持っていこうよ」とは思うん
ですけど(笑)。今までどの野外ライブでも、台風が近付いてても前日に外れていった
りっていう奇跡があったんで、今回も絶対晴れる!と思ってたんですけど。凱旋ライブ
で雨に打たれて……まあ、おかげでTAKUROが言う「全天候型バンド」に生まれ変われた
から。
70代のおじいちゃんが「GLAYを観てみたい」
──ライブって自分たちでコントロールできない部分があるし、予測不能なことが起き
がちだとは思うんです。そういう事態に遭遇したときの対処法みたいなのってあります
か?
JIRO そうですね、あんまりナーバスにならないことですね。前に一度TERUの喉の調子
が悪くて、ライブ中に声が出なかったことがあったんですけど、そのときに「悔しいけ
どうれしい」って言ったんですよね。
──それはどういう意味ですか?
JIRO(B)
JIRO 「みんなが見守ってくれてる」「温かい目で俺を見てくれてることがうれしい」
って。TERUの性格は知ってるので、本当はすごく悔しかったと思うんですよ。でもその
感情すらも超えて、僕らを愛してくれてるファンの人たちの優しさに感動してた。やっ
ぱりTERUの声が出ないのって、GLAYにとっては一番のトラブルだと思うんです。僕らの
楽器が音が出なかったとか、演奏が途中で止まっちゃったとしても大したトラブルじゃ
ないというか。このバンドを引っ張ってるTERUがファンの人たちを信頼してステージに
立ってるっていうのがわかったとき、これから何が起きても大丈夫だろうなって思いま
したね。2年ぐらい前のツアーのことだったんですけど。
──函館のライブを観て感じたんですが、GLAYって自分たちのためというよりはお客さ
んのためにステージに立ち続けてるんじゃないかと。
JIRO ほんとにそうですね。函館ライブに関しては特にその思いが強くて。函館ってめ
ったにアーティストがコンサートに来てくれなくて。でも、中学校ぐらいのときに竜童
組の野外ライブを観に行って、よく来てくれたよなあって思ったんですよね。僕、曲と
か全然知らなくて、友達に連れて行ってもらったんですけど。大きいステージで爆音で
聴く体験っていうのが印象に残ってて。今回はなかなか函館から出ない人たちに、僕ら
なりではありますけどエンタテインメントを届けられたなと。
──ちゃんと地元に恩返しができたと。
JIRO あとから聞いた話なんですけど、70代ぐらいのおじいちゃんが「GLAYっていうバ
ンドが函館出身だっていうのは知ってるけど、どんな音楽やってるのかは知らない。で
も函館にそんなにたくさんの人を呼ぶバンドなんだったら観てみたい」って言って、自
分でチケット取って来てくれたっていうエピソードを聞いてうれしくなったり。周りの
人たちからも、地元の人たちのGLAYに対する評価が上がったという報告を聞くんですよ
(笑)。交通手段や宿が十分にフォローできなくて各方面に迷惑をかけたと思うんです
けど、下地はできたんで、街を盛り上げる一環として続けていけたらなと思ってます。
豪雨の2日目で吹っ切れた瞬間
──ちなみにお2人が印象に残ってる場面ってどこですか?
TERU 俺はやっぱり「口唇」の出だしの失敗が……(笑)。
JIRO ドラムのTOSHIのカウントとボーカルからスタートする曲なんで、TOSHIとTERUだ
けがクリックを聴いてるんです。だからほかのメンバーは知るよしもない。カウントが
鳴れば当たり前に入ったんですけど、入らないから(笑)。お客さんも笑っちゃってた
し。
──それはいい意味での印象的な場面なんでしょうか……。
TERU もちろんいい意味です(笑)。あとは「Eternally」の大サビで花火が上がった
ところじゃないですかね。あれは自分たちでも感動したし、ファンの子たちも喜んでく
れたんじゃないかなって。「Eternally」は深い愛情の歌だし、函館ライブのテーマソ
ングでもあって。GLAYとファンの子たちやスタッフの関係性を表現しているような瞬間
だったと思いますね。
JIRO 僕はやっぱり印象的だったのは、2日目になっちゃうんですよね。1日目もよかっ
たんですけど、2日目の吹っ切れ方がここ数年で一番すごいライブだった。
──自分の中のリミットを超える瞬間があったと。
TAKURO(G)
JIRO そうですね。2日目はWOWOWの生中継も入っていて、オープニングからきっちり演
奏しなきゃなっていう意識がいつも以上に強かったんですよ。でもどんどん雨が強くな
って。「Winter,again」を演奏してるときにTERU、TAKURO、HISASHIがずぶ濡れになっ
て前にいるわけですよ。そのあとが「サバイバル」だったんですけど、「これは雨に濡
れなきゃいけないよなあ」って3人の背中とファンの顔を見ながら思って。そこで花道
に飛び出していったんですよね。さらに「ROCK'N'ROLL SWINDLE」で僕が弾くキメのフ
レーズがあったんですけど、雨に打たれてたらハンパなく間違えて(笑)。そこで「ビ
シッと決めてやんないとな」って感じだったんですけど「もう知らない!」ってなって
、そのままの勢いで演奏を続行したらどんどん楽しくなっていった。映像で確認しても
いい表情してるんですよね。
──なるほど。
JIRO それまでは「テレビに映ってる。全国放送だ」って意識した顔だった。もちろん
笑顔なんですけど、途中から「楽しんでます!」っていう表情に変わってるんですよ。
「どんなことがあっても、目の前のこいつらは楽しませて帰るぞ!」っていう気持ちに
なったんですよね。
TERUの「いいね!」がないとダメ
──函館ライブのセットリストはアルバムメドレーが中心になっていて、GLAYの歴史を
総括するような内容だったと思うんです。ナタリーにレポートを掲載したところ(参照
:「新しい歴史を作ろう」GLAY名曲連発の函館ライブ初日 / GLAY、ファンと逆境乗り
越えた豪雨の凱旋ライブ2日目)、セットリストに対する反響が大きくて。セットリス
トはどなたが中心になって考えたんですか?
JIRO 僕ですね。いつも僕がセットリストとか構成を考えて、みんなにプレゼンするん
ですよ。とにかく函館ライブは、何がなんでもソールドアウトさせたい。成功の基準の
1つがソールドアウトだったんで、それを考えたときに「TAKUROさん、アルバムメドレ
ーっていうのをやってみたいんだけど、どう思う?」って聞いたら、「いいねえ」みた
いな返事だったんでTERUとHISASHIにもメールして。それが2012年の春先くらいだった
かな。2人とも速攻で「いいね!」って返ってきて。とにかくTERUに「いいね!」って
言わせないとダメなんですよ。
──その理由は?
JIRO GLAYって僕らが演奏でTERUにパワーを送って、自信を持って歌ってもらわないと
始まらないんです。メドレーとなると構成も複雑だし、歌詞もバラバラなものをつなぎ
合せなきゃいけないんで「これはTERUさん、けっこう大変かもしれないな」って思った
んだけど快諾してもらえたんで。そこから構想を考えて……。
──メドレーに組み込む曲の基準はありました?
JIRO あんまりGLAYのことを知らない人たちも来るんじゃないかなっていうことで、メ
ジャーな曲は押さえたつもりです。一方で、函館までわざわざ来てくれた人たちが「よ
っしゃー!」って思えるレアな曲も入れていかなきゃいけなかったんで、かなり苦労し
ましたね。最初はメドレーに7曲くらいぶち込んでたんですけど、ワンフレーズずつに
なっちゃって節操ない感じだったんで、最終的に絞り込んだり。
決め手は動けるか動けないか
──メドレーを構成する中で発見した“GLAY節”みたいなものってありますか?
TERU ミディアムな曲が多いんだなっていうのは感じましたね。だから悩まされた部分
もあって。ライブだし激しい曲を求められるだろうと、各アルバムの中でもそういう曲
を中心に組んでいこうと思ってたんですけど意外となくて。ミディアムな曲だと、ライ
ブでは動けないっていうのがあるんです。これじゃちょっと花道には行けないから違う
曲を入れよう、みたいな意見は出ましたね。
HISASHI(G)
JIRO スタジアムとかアリーナでやってても、GLAYのライブのコンセプトとして「自分
たちがみんなが肉眼で観れる距離に行く」っていうのがあるんです。メドレーを作って
るときに、もう少しミディアムな曲が多い構成にしようと思ってたんですけど、そうな
ると立ち位置から動けないっていうのがあって。セットリストを考えるときは、動ける
か動けないかを意識するようにしてます。
──今回のライブは序盤から花道で演奏してましたよね。
TERU 出し惜しみしたくないんですよ。自分たちも好きなミュージシャンのライブに行
ったときに、近くに来てくれたりするとうれしかったりするんで。ジャニーズのグルー
プとかEXILEがそうなんですよね。ちょうどEXILEの東京ドーム公演を函館ライブの前に
TAKUROと観てて。野外ライブであっても近くに行くっていうのが、メンバーのキーワー
ドとしてあったと思いますね。
JIRO まあね、どんな特効よりも強いんで。
──JIROさんがメドレーを演奏する中で改めて気付いた“GLAY節”ってありますか?
JIRO やっぱり初期の曲は若さあふれるというか、無駄に速かったりとかするなって。
あと「DARK RIVER」や「Eternally」は、すげえ貫禄あるなって(笑)。
──音楽性の変化にも気付いたと。
JIRO そうですね。基本的に「歌モノ」と「バンドサウンド」っていうのは変わってな
い部分ではあるんですけど、貫禄みたいのが出てきたなと。その一方で、高校時代に作
ったパンキッシュな「CRAZY DANCE」みたいなのもあるし。一時期はその振り幅の広さ
が器用すぎるんじゃないかと思って、どうなのかなと思ってたんですけど。
──器用なのはイヤですか?
JIRO そうですね。でも、それ考えるのもナンセンスっていうか。TAKUROくんの頭の中
は、もっと広いことになってるっていうか。それにどんなに曲の振り幅が広くても、
TERUの声が乗るとロックになるし。HISASHIのギターが入ると、ちょっと変わったポッ
プになるし(笑)。今はGLAYのスタイルがちゃんと確立された気がします。
ライブはファンとのガチンコ勝負
──この函館ライブの映像を観て、改めてGLAYはライブを本当に大切にしているんだな
って感じました。GLAYにとってライブとは、活動の中でどんな位置付けのものなんでし
ょうか。
TERU ファンの子たちと本気でぶつかれる場所ですね。マンネリな姿を見せたら離れて
いってしまうだろうし、自分たちが本気じゃないライブを続けていたら、気持ちも離れ
てしまう。そういう危険性も感じながらステージに立って、毎回勝負してるんですよね
。ガチンコでファンの子たちにぶつかっていって「今の俺たちはこれなんだ!」ってい
うのを見せられる場所だなって。
──TERUさんの中での理想のライブってありますか?
TERU 自分が最高に気持ちいい声で歌える、その瞬間が俺にとっての幸せだっていうの
は体が覚えてるんですよね。そうするためにどういう努力をするべきか考えるようにな
って。毎回100点とはいかないまでも、99点、98点を取れるようなライブを続けていく
しかない。あとは1人でも多く笑顔にしていきたいなと思うようになりました。
──昔は違ったんですか?
TERU 違いましたね。ちょっと天狗になってたときもあったみたいで(笑)。デビュー
当時とか、平気でライブを途中で放棄してましたから。あの頃の自分に言いたいですね
、調子に乗るなと(笑)。
──自分のカッコいいところを見せたいという思いが先行してた?
TERU そう。自分が考える「ロックバンドのボーカリストはこうあるべきだ」っていう
のを追いかけてた。カリスマ的な存在であるべき、みたいな。でも「GLAY EXPO '99
SURVIVAL」のあとくらいかな、ファンの子たちに支えられてるというのを実感して、も
っともっと笑顔を引き出すライブをしたい、みんなが楽しめる空間を作りたいっていう
方向に変わりましたね。
──JIROさんにとってライブとは?
JIRO 全国各地に僕らのことを熱心に応援してくれる人たちがいるから、そこに会いに
行く感じですね。たまには僕らに付き合って大都市に来てください、みたいな感じ(笑
)。
──今年は「僕らを観に函館に来てください」だったと(笑)。
JIRO そうそう。その恩返しをしに、今度は僕らが会いに行くよ、みたいな。その繰り
返しですね。その関係性がいいから、ライブやりたくなるんじゃないですかね。
──いい曲を作ったら届けに行きたくなるというのはあります?
JIRO いや、僕の場合は逆かもしれないな。まずはライブをしたくて。でも曲がないと
飽きるよねっていう。だから僕の場合は「こんな感じの曲がライブに入ってきたらいい
な」って考えながら曲を作ってます。
──なるほど。最後に函館ライブは今後も続けていかれるそうですが、第1回を踏まえ
て次回の構想など……。
TERU 4年後にやる予定というくらいですね。みんなに約束をしちゃったんで(笑)。
その前に「GLAY EXPO」があるんですけど。あと今後は函館だけじゃなくて、本州や九
州、四国でそれぞれの場所で違うライブをやるっていうのもいいですよね。そういう夢
をみんなで持っていたら、いい人生を歩めるなって。
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※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.cc)
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