[新聞] 『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』天海祐希 単独インタビュー
『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』天海祐希 単独インタビュー
仕事させてもらえることを当たり前だと思っちゃいけない
取材・文:高山亜紀 写真:高野広美
一緒に役をつくらせてもらった仲間のような存在
Q:最初に出演の話を聞いた時の感想は?
「20周年記念の作品で、ゲスト声優で初めての黒ずくめの組織の一員」と聞いて、「面
白そうだな、やってみたいな」と思いました。その一方で、もしかして大変なことを引
き受けてしまったのではないかとも思い始め、すごく緊張しました。
Q:黒ずくめの組織の一員はやはり、プレッシャーでした?
プレッシャーに感じるなら、引き受けなければいいと思うんですよね(笑)。でも、コ
ナンくんは割と観ていて、全く知らない作品ではなかったので、ちょっとうれしかった
んです。やっている時間帯に家にいたら、気になってつい観たくなる作品ですよね。
Q:どんなふうに楽しんでいたんですか。
大人が真剣に考えても難しいトリックだったり、ちゃんと感情が流れるようなストーリ
ー展開だったり、キャラクターも魅力的ですよね。コナンくんなんて、子供にされちゃ
っているわけだから、すごく想像力をかき立てられます。彼らがいつ大人に戻れるんだ
ろうというような謎も、たくさん仕掛けられている。これだけ多くの人を惹(ひ)きつ
けているのは、そんな謎の一つ一つに魅力があるからではないでしょうか。
Q:その世界観に自分が声を吹き込んだキャラクターが登場するのはどんな思いですか
。分身のような感覚でしょうか?
アフレコさせていただいた作品は、もちろん自分でも観ますが、毎回、不思議な感じで
す。自分の声なのに、なんでここにあるんだろうと思ったりします。分身だなんてとん
でもない。一緒に役をつくらせてもらった仲間のような気がします。
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謎の全てが解明されるわけではない……!?
Q:この役柄のために心掛けたことはありますか。
どのお仕事でも、その役の背景なりをちょっとでも、しっかりつかんで、誠実に演じら
れるようにということを常に思っています。
Q:今回の「謎の女性」に関してはどんなキャラクターだと思いましたか。
わたしが「この人はこういう人です」っていうことを言ってしまうとそれが正解になっ
てしまうような気がするんですよね。キャラクターの捉え方には特に正解はなく、観て
くださった方がいろんな捉え方をしてくだされば、それが正解なんだと思います。だか
ら、「こういう女性です」というようなことは、わたしからは言わないようにしていま
す。観てくださった方が「こうなのかな」とか、いろいろ思い描いてほしい。想像の幅
を狭めるようなことはしたくないので、言わないでおきます。
Q:なるほど。しかも、今回は特に謎はそのままにしておいた方がよさそうですね。
すごく謎めいていて、その謎の全てが解明されるわけではない……ような気がしない…
…わけでもない(笑)。この人に関しても、そのほかのこともそうです。それでいて、
着実にコマは進んでいっているような気がするんですよね。だから、「ここ、わからな
かった」というような不思議に思うことや疑問に思うことは、観てくださった方がそれ
ぞれ判断してくださればいいんじゃないかな。そういうこともコナンのファンの方は楽
しみになさっているんじゃないかと思います。
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「オケピ!」と同じくらい分厚かった台本
Q:台本を読まれた時の感想は?
内容については「ほ~っ」と思いました。台本、厚いんですよね。三谷(幸喜)さんの
ミュージカル「オケピ!」と同じくらいでした……。わたしはアフレコに関しては経験
が少ないので、声優さんたちがどんなふうに役づくりをして、皆さんがいったいどんな
ふうに台本をご覧になっているのか、すごく興味があります。
Q:声だけで演技する難しさはありましたか。
すごく難しくて、簡単にできることだとは決して思っていないです。特に目の前にある
画(え)に声を合わせる作業が難しく、プロの声優さんはすごいなと毎回、思っていま
す。
Q:台本には「……」というようなところまで、書かれていますよね。
「……」に関しては、画の口が動いていたら声や息を出したり、動いていなければ、何
もしないでと指示されました。大事なことは口を合わせることじゃないかとわたしは思
っているんですが、それが一番難しい。
Q:「はっ」「えっ」「うっ」という声にならないセリフでは、NGが多かったと聞きま
した。
セリフではなく、ため息のような音で結構NGを出しました(笑)。自分では何がどう違
うのかわかりにくくて、聞き直したりしました。例えば「息を吐きながら出す音」が小
さくてマイクに音が乗らなかったりと、とても難しかったです。
Q:これまでに求められてこなかった演技ですか?
演技というより、テクニカルな部分だと思うんですが……音色や実音というのかな、音
ではなく息であったり、そこのうまい兼ね合いがなかなか難しかったです。監督の欲し
いものとわたしのものとに差があったのだと思います。でも、言ってもらえた方がこち
らも成長するし、本当にいいと思ったものをOKしてもらわないとよくないですから。そ
こは「何回でも、やりますから」と言って、やらせてもらいました。
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仕事をいただけることが当たり前だと思っちゃいけない
Q:前向きですね。
お仕事はそうじゃないといけないと思う。たくさん役者さんがいる中で、わたしに声を
掛けてくださった。お仕事があるってことは本当にありがたいことだと思うし、それに
感謝して、お返しするのであれば、自分にできる限りのことをやらないと。楽しみにし
てくださる方もいらっしゃるでしょうし、その作品自体を楽しみにして、「天海祐希、
よかったね」と思ってくださる方もいるかもしれない。どういう形ででも、作品のため
、もしくは誰かのためになれるのなら、それが一番幸せなことだから。仕事をさせてい
ただけることが当たり前だと思っちゃいけないと思っています。
Q:天海さんが仕事をしていて、一番うれしい瞬間はどんな時ですか。
観てくださった方から、「面白かった」という声援をいただくことが一番うれしいかな
。
Q:『ミニオンズ』での声の演技も好評でした。
そう言っていただけるのはとてもうれしいです。でも、これだけ有名な作品だとやっぱ
り緊張しますよ。ファンの方も多いですから。もちろん、ファンの方の数で手加減する
ことはありませんが、それだけご自身のイメージを持っている方が多いということです
から、そこはやっぱり気になります。
Q:今後はこれまで以上に子供からも支持されるのではないでしょうか。
役名で呼んでもらえるとうれしいですね。わたしが前面に出ているよりいいと思います
。もちろん、「天海さん」でもいいですけど。声を掛けられるのはうれしいものですよ
。まあ、時と場合によりますけどね(笑)。
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テレビアニメと劇場版が20周年を迎えた『名探偵コナン』シリーズ。天海祐希が宝塚を
退団し、芸能生活を始めてからもちょうど20年だそうだ。トップを走り続ける大女優で
ありながら、「仕事があることを当たり前と思わない」という謙虚な態度。そして新し
いことにも果敢にどんどんチャレンジしようとする姿勢にも頭が下がる。内面からにじ
み出る、抑えきれないかっこよさ。演じるキャラクターがりりしいのも当然だ。
ヘアメイク/林 智子 スタイリスト/えなみ眞理子
(C) 2016 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
http://www.cinematoday.jp/page/A0004949
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